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2017年入賞作品

JID 賞 JID AWARD 2017は、「偶然と必然」をテーマに、017年1月~3月 の間、公式ウェブサイトで公募を行った。応募条件をクリアした136点 を審 査 対 象とし、ウェブ上に登録された資料に基づいて第1次第2次の審 査 を行い、現地審査や現物審査を行う第3次審査を経 て ゲスト審査委員の参加を得た最終審査で、大賞1点、インテリアスペース部門賞 3点・入選5点、インテリアプロダクト部門賞3点、NEXTAGE部門 賞10点の作品を選出した。受賞作品は、公式ウェブサイトで発表 するとともに、受賞作品展でパネルによる展示が行われる。

大賞 Grand Prix

社会福祉法人楓葉の会 椛 -MOMIJI-

一之瀬 暁洋(株式会社イチデザイン)

[審査講評]
知的障がいや発達障がいを持つ利用者に、生活介護、就労継続支援を行 う多機能型事務所であり、併設された木工作業所等で作業を行う利用者 が作業以外の時間をすごす生活空間となっている。スキップフロアの印象 が強いためバリアフリー的観点からの質問をしたところ、大事なことは 利用者が心から楽しめる過ごしやすい空間であるかどうかと考えますというのが施設長の答え。実際、自分なりの居場所を大事にする利用者 たちの寛いだ様子や、子どもたちとの交流を楽しむ姿を見ていると、この 施設のめざしている「地域社会と福祉とを結ぶ空間」としての役割が、 デザインによって具現化されているのだな、と感動させられた。 (清水忠男)

インテリアスペース部門賞 Interior Space Prize

熊野町の離れ  」と「斜めの抜け」

荒木 源希、佐々木 高之、佐々木 珠穂(A+Sa 株式会社アラキ+ササキアーキテクツ)

[審査講評]
母屋の南庭に建つ離れで、祖母の将来車椅子使用に対応した計画である。 現在は孫子、盆暮れの集いと宿泊が可能で、設計家の家族・親族への 気配りが実現され、成功している。建物内を「通り土間」で、宿泊部と 集いの場・個室を隔てる・繋ぐ手法も明快である。視線計画・通気計画 で窓の配置を「斜め抜け」とした手法は新鮮である。建具もオリジナルでディテールはしっかりしている。素材構成は、漆喰、玄昌石、ナラ、和紙など和材に限定、こだわりが感じられ、まとまりも良い。通り土間、集い の場の合掌天井は良く工夫され、空間量も良い。総じて、良く凝縮され 心地良い建築・インテリアと評価した。(小宮容一)

インテリアスペース部門賞 Interior Space Prize

ŌYANE

原田 圭(株式会社ドド)

[審査講評]
400 年に渡り日常食器を作り続けてきた波佐見にふさわしい施設となって おり、大きな白い屋根は地域の新たなランドスケープとなっている。 陶磁器を焼く際に使うサヤ(厘鉢)で構成された室内は、展示販売、 ギャラリースペースとなっており、廃棄処分されるサヤを存分に生かして いる。必要以上のことがされてないにも関わらず、サヤの使い方、納まり、 空間の使用目的と、間の取り方が自然で、結果居心地が良い。下階にある ストーブの煙突を半露出で暖房効果に寄与させるなど、細かい配慮が 随所にみられる。さらには外部のサイン箱文字、店内ペンダントライト のシェードもオリジナルデザインのセラミック製と、細部まで念を入れ ている。 (米谷ひろし)

垂木の住宅

富永 大毅、藤間 弥恵(富永大毅建築都市計画事務所)

[審査講評]
「何のために木をつかうのかが見えなくなってきている」作者のコンセプト 通りに、本作品は山林の維持や今後の林業の活性化を基本から考え直し た提案である。単に大量の木材を用いたり、表面を木質で覆うという 手法ではなく、先ず流通から見直し垂木用に加工された杉材を一括 購入し、その上で現場作業を短縮し簡略化した現場工法の開発、さらに 木材の特性を考慮しデザインに反映している。天井との関わりやその他 壁面等とのバランスも工夫され斬新で居心地の良い空間を具現化して いる。またセンターにコの字に配置された間仕切りや収納家具は 回遊性が確保され床面積からすれば従来得られなかった拡がりも確保 しており興味深く存在感のある作品である。(近藤康夫)

インテリアプロダクト賞 Interior Product Prize

紙庵

片桐 和也(Katagiri Architecture+Design)
犬塚 敬聡(Akinori Inuzuka Design)

[審査講評]
雪の「かまくら」を思わせる和紙の白と折り紙の手法で構成された空間は非常に美しい。日本人らしい繊細さと大らかさが感じられる。審査は模型で行われたが、 実際に空間を体験したいという気持ちを掻き立てる紙庵である。 接着剤を一切使わず和紙のみの組み合わせで形態も組み合わせによって自由に創造出来るという点に興味は広がる。また、この美しい移動可能な茶室空間はヨーロッパの建築の中でも「和のこころ」として容易に受け入れられる可能性を含んだプロダクトデザインだと思う。今後が楽しみな発展可能なデザインと言える。(川上玲子)

インテリアプロダクト賞 Interior Product Prize

Trus(s)tool Wall

片桐 和也(Katagiri Architecture+Design)
犬塚 敬聡(Nada Architecture+Design)

[審査講評]
今回のプロダクト部門の中では、インフォメーショ ンスペースの陳列家具の提案という事で多少建築 的であるが、各ユニットの組み合わせもバリエー ションに楽しさがあり、構造的にもピンでうまく 接合されてあり、単一で不安定な事なく、 良くま とまっている。素材的にも四万十のねばりのある ヒノキ材を使用してあり耐久性もいいと思う。 そのヒノキ材のパーツが太平洋の水面の輝きと コラボレーションし光と影となり、壁面にオーバー レイするときは、楽しみの一つであろう。(岩倉榮利)

インテリアプロダクト賞 Interior Product Prize

うまテーブル

中西 竜太(カクヨン)

[審査講評]
作品タイトル通り目的に合わせて設計された テーブルであるが、多様な用途に対応すべく工 夫がされている。畳の上に置く家具として天板 の高さが 615mm とかなり低めの設定であり、 狭い空間に合わせ緩やかにラウンドさせた天板 は2000×800mm、サービステーブルとしても使う ことが可能な部材を連結すると 2400mm まで 延長することができる「うま」をモチーフに シンプルな形状で多彩な用途に対応している。和 室の暮らしに合った「しつらえ」という言葉が しっくりくるデザインの家具である。 (木辺智子)

NEXTAGE部門賞 NEXTAGE Award

[審査講評]
今回のネクストエイジ部門の最終審査対象は、全てがプロダクト的作 品で、スペースの作品はなかったが、際立つ発想やユニークな作品、 ディテールをしっかりおさえた作品、これからの可能性に挑戦した作 品など、どれもが力作で優劣つけがたく審査が難航した。最近はあまり耳にしない言葉であるが 1970 年代の新造語『環具』とも言える作 品や、システム家具の提案作品など、印象的であった。次の時代を担 うデザイナー達の今後の活躍が大いに期待される。(池田和修)

部門賞+五十嵐久枝賞
On y Va !

代田 哲也、三澤 直也、辻 証子、榊 竜太(株式会社フィールドフォー・デザインオフィス)

 部門賞+石橋勝利賞
KIRI

山下 麻子・山中 コ~ジ・山中 悠嗣 ( pivoto )

 部門賞
foldingベルトの張力とヒモ丁番を利用した折りたたみベンチ

清水 佑哉、大坪 ユキノ (株式会社スーパースーパー)

泡沫の境界 遷移による空間芸術の研究

田中 秀行(九州産業大学芸術学部 デザイン学科空間デザインコース)

Step up Chair

藤村 益生 (藤村デザインスタジオ)

Quite

柳川 大知

生活に調和する減災家具

中山 泰徳(林テレンプ株式会社デザイン部インテリアデザイン)

静のテーブル、動のテーブル

今井 大輔(有限会社フリーハンドイマイ)

K E S H I K I

藤原 瞳太、岩澤 太郎 (DESIGNMUDAI)

木と革

小林 寛明、小林 大士 (家具と革と小林)

入選作品

いとの森の歯科室

有吉 弘輔(ノットイコール一級建築士事務所)
有吉 祐人(スプモー二デザインスタジオ)

女神の森セントラルガーデン

永山 祐子、山岸 大助、鈴木 俊祐 (有限会社永山祐子建築設計)
大石 卓人、伊藤 周平(株式会社竹中工務店 )

sitatte sapporo 札幌フコク生命越山ビル

糀谷 正和、西村 健 (清水建設株式会社一級建築士事務所)
志村 美治、井筒 英理子 (株式会社フィールドフォー・デザインオフィス)

エルメス祗園店

鬼木 孝一郎(株式会社鬼木デザインスタジオ)

ニフコYRP防爆棟・実験棟

越野 達也、高橋 一哉(株式会社竹中工務店)

2016 JID AWARD 全体講評

ゲスト審査委員

五十嵐 久枝(IGARASHI DESIGN STUDIO 代表、武蔵野美術大学教授)

最終審査スペース部門審査では、多岐に渡るジャンルの作品が対象と なり大変興味深い審査となった。多様なスペースへの考えや意識が 深まり、その表現も拡張されてきていると感じる。規模も価値観も 多様であり、それぞれが輝きをはなっている中で、選ばれた2017年の 大賞作品は、その場に関わる人と支える人の繋がりが内外全体に包含 されていることを感じさせる力作であった。インテリアプロダクト部門 では、プロトタイプと模型での提案を比較し審査する難しさがあった が、小さな生活雑貨から空間サイズまで幅広い提案がされどれも熱意 が伝わる作品であった。NEXTAGE部門では、製品化に向けて完成に近づい てきている作品と提案型デザインが混合しユニークだがこちらも審査 は難しい。感覚を刺激するものや機能性が加えられた作品もあり興味 をもった。今後の、この賞における発展と各々作品の良い展開に期 待している。

ゲスト審査委員

石橋 勝利(デザイン誌「AXIS」総括)

最終審査に残ったどの作品も、つくった人々の意図に溢れた素晴ら しい空間だったと思います。だから審査は難しい。そこで、「偶然と 必然」という今回のテーマの下、敢えて自分なりの審査基準を 持つとすれば、当初のデザイナーの意図を超えて、使い手の無意識 の行動が、これまた知らぬまに誘発され、新たな使い方や心地よさ が生まれていくかどうか、でした。現在の作品の状況を見て審査 をするものの、大切なのはこれからをイメージできるかどうかだと 考えたのです。つまり、われわれの想像力を掻き立ててくれる空間。 今回は、そのような作品が高い評価を得たと思います。

JID AWARD 2017 審査員

ゲスト審査員

五十嵐 久枝 (IGARASHI DESIGN STUDIO 代表、武蔵野美術大学教授)
石橋 勝利 (デザイン誌「AXIS」総括)

JID選考委員会

安藤 清 (インテリアデザイナー、企画室A.N.D)
池田和修 (JID 理事長)
岩倉榮利 (岩倉榮利造形開発研究所 代表取締役)
川上玲子 (テキスタイル&インテリアデザイナー)
木辺智子 (インテリアデザイナー、株式会社フォーラム 取締役)
小宮容一 (芦屋大学名誉教授)
近藤康夫 (インテリアデザイナー、東京造形大学特任教授)
清水忠男 (製品・環境デザイナー、金沢美術工芸大学大学院教授)
米谷ひろし(TONERICO: INC.代表、多摩美術大学准教授、選考委員長))

JID AWARD 2017 レリーフレット

JID AWARD 2017 レリーフレット PDFファイル