JIDnews 268

JIDnews は、公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会が発行する機関誌です。

interior TREND

オランダ・アムステルダムに見るデザイン住宅

西日本エリア・副エリア長 安藤眞代

都市を盛り上げるための
キャンペーン、
移動するロゴ「I amsterdam」


KNSM島、個性ある細長い
現代建築版住宅


東端に建つランドマーク的な、
円形の集合住宅
「エメラルド・エンパイア
集合住宅」


集合住宅に併設する、
シニア憩いのデザインカフェ


安心感のある、
十分に設計された緑化


低層の窓が大きく個性的な住宅。
住宅の真下に、住宅入り口がある。

ミラノサローネに毎年行く様になり早7年になりましたが、いつもその前後に近隣諸国ヨーロッパにインテリアの勉強に行きます。今年は近年注目されているダッチデザインブームのオランダ、アムステルダムに行ってきました。  オランダは日本の九州とほぼ同じ面積。とても国土が少ないです。 1980年後半から、それまで主流だった賃貸から所有へと住宅政策の方向転換がなされたことにより、さまざまなニーズに応える都市型住宅が開発されることとなり、アムステルダム港湾地区の旧倉庫地帯などの再開発に続き、現在はその更に東のアイブルクにおいて、タウンハウスをはじめとした数々の集合住宅が開発され続けています。限られたスペースにおいて、いかに個性を出す事ができるか、コモン・スペースはどうあるべきか、オランダの住宅を見ることにより、これからの日本の集合住宅建築のあり方や再生のヒント見えるかもしれません。

今回は自転車を借りて東部湾岸地区の5つの、それぞれ異なるコンセプトで開発された島に足をのばしました。まずはKNSM島、沢山の個性ある細長い旧市街と同じ様な、現代建築版住宅が立ち並びます。その昔は間口の長さで税金を取られた名残らしいです。 また集合住宅はどれもデザイン性にあふれ個性的ですがとても安心感があり、緑化も十分に設計され、住みやすい環境が整ってると感じられました。 島の東端に建つランドマーク的な、円形の集合住宅「エメラルド・エンパイア集合住宅」は、建物最上部の飛び出した箱が海の砲台のようにも見えます。 マスタープランを担当したヨー・クーネンの作品で、日差しや風のことを考慮した深い庇が不規則な外壁パターンを作り出しています。 オランダでは「建物の一定割合をアートに割かなくてはいけない」とあるらしく、本当にデザイン性に溢れた住宅に感心させられました。

多くの設計チームによって各地区の開発が行われているのですが、どの島も全体に統一感がありました。というのも地区の設計にあたって、住戸の建築面積の半分をヴォイド空間とすることを規定し、材料については同一の素材(レンガ、木など)の使用を義務づけていたからだそうです。各区画はそれぞれ違う住棟のデザインをしていますが、空間、素材が同一なため、統一された景観となっているのです。


ブリュノ・アルベール棟
円形劇場のような集合住宅



カラフルなダッチ・デザイン
テイストの団地形式の集合住宅



「ザ・ホエール」ランドマーク的な
大型デザイン集合住宅



個性ある、デザイン性に溢れた
集合住宅


川の上に建てられた集合住宅、
緩やかにアールを描いています




低層の住宅の統一された景観


旧市内のハウスボート


次に渡ったボルネオ・スポールング島は、低層の住宅が運河添いに沢山並んでいます。そのために公共空間が少ないという批判などもあるようですが、個々の住宅は私的な中庭を持ち、都市住宅としては理想的といえる住環境を持つものになっています。 (ちなみに、島の名前は昔植民地だったインドネシアの地名からとのこと)

さらに、アムステルダムは深刻な住宅不足からハウスボート居住者が多いとのことで、あちらこちらに見られました。 現在はハウスボートの保留許可証の発行はすでに停止されていますが、そのため許可を受けているハウスボートは値段が高騰し、ハウスボートに住むということが一つのステータスになり、空きを待っている人がたくさんいるそうです。日々の生活は快適なのか・・どうなのかしら?と疑問を持ってしまいます。

今回初めてアムステルダムを訪れて、建築家たちによる大胆なアイディアをもとにした再開発計画が国内外の注目を集めている事に納得させられました。建築会社や、ハウスメーカーが個々にバラバラな開発を進める日本の住宅、集合住宅。国土が国の物なので、国主導で開発が進められるオランダだから出来ている国策とはいえ、オリンピックを控え、そろそろ日本もデザインを中核に建築を考えていかなくてはならない時がきているだろうと、考えさせられたオランダ視察でした。