JIDnews 281

JIDnews は、公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会が発行する機関誌です。




JID60周年記念イベント「熊本地震に学ぶ」ご報告

 

南日本エリア 江島太士


南日本エリアでは、JID創立60周年記念イベント「熊本地震に学ぶ」を、10月26日(金)〜27日(土)に実施しました。初日11:30分JR熊本駅から貸切バスにて約10分、熊本城内の城彩苑に全員集合。スケジュールの打合せや出席者の自己紹介、昼食をとりながらのコミニュケーションで始まる。参加者は10名と今回のイベントに大変ご協力頂きました熊本県土木部建築住宅局建築課長、課長補佐2名が同行して計12名でした。
第1視察地の熊本城は立ち入り禁止区域への視察・調査の為には、大変厳しい立入許可申請が必要で一ヶ月以上期間を要し、無事許可が下り当日はヘルメット着用にて、市役所職員の詳しい説明を聞きながらの城内視察でした。
熊本地震から2年半、民家や交通路線など生活に伴うものは復旧復興が進んでいるが、広大な文化遺産である城の城壁には生々しい傷跡が多く残っていた。石積みのひずみも大きく、今にも壊れそうな感じの所がいくつもあった。現在は修復の必要な建築物の解体と記録・保管が進められているようです。大変気の遠くなるような仕事量と思いますが、とても大事な作業がされているようでした。天守閣の方は土台の石垣積みが大きなクレーンでされていた。今回石積みの崩落や変形の現場を多く見たが、石垣の隅に使った切石の美しさと強度には心から感動しました。長期となるこの工事、是非これまでの伝統技術に磨きをかけて未来につないでもらいたいと思いました。尚この熊本城規制区域内での写真映像の添付は誓約事項上出来ませんでした。

第2の視察・説明会々場西原村役場へ バスで東へ約22kmこの地区も被災が大きかったところで、役場付近一帯は1.5mも地盤が下がったとのことです。役場の建物は倒壊はせず無事だったと聞く。 先に役場の係長から「災害公営住宅」山西地区を案内して頂いた。この住宅は被災者の為に迅速に災害公営住宅が整備できることや、西原村らしい住宅の整備が出来るなどをメリットとしていた。県産材の杉を使った戸建て住宅で、杉無垢板のフローリングで玄関から次のリビング&キッチン、奥には畳表張りの和室。別にバスルームとトイレ、屋外には芝生の縁側を設けコミュニケーショスペースと、これまでの災害住宅では味わえない素晴らしいものでした。

災害公営住宅整備事業の概要(買取型)
買取型とは、村が用意敷地に、公募で決定した事業者が住宅を建設し、完成後村が買い取る方式
事 業 名:西原村買取型災害公営住宅整備事業
    (平成29年度災害公営住宅整備事業/国土交通省)
    (平成29年度公営住宅等駐車場整備事業/国土交通省)
整 備 地:山西地区 約11,000㎡        河原地区  約4,800㎡ 整備戸数:  〃  住宅 45戸及び集会所1棟   〃   住宅 12戸及び集会所1棟
事 業 費:  〃  約9億7100万円        〃   約2億9500万円
事業者名:県内の工務店、県内若手設計者グループ、宅地建物取引事業者
    (事業者選定審査委員長:伊東豊雄KAPコミッショナー)

 





残り少ない時間だったが役場の別棟2F研修セミナー室で、地震の被害状況と復旧・復興の取り組みについての説明と、役場のから復旧・復興についてのお話しをお聞きしました。
熊本地震の被害状況と復旧・復興の取り組み  熊本県庁:建築課長
(前震)平成28年4月14日21時26分 M 6,5 震度7:益城町    震度6弱:西原村
(本震)平成28年4月16日 1時25分 M7.3 震度 7:益城町    震度7:西原村
*震度6弱以上の大地震が7回、うち震度7は28時間以内に2回発生(観測史上初)
被害概要 人的被害H30.8.13現点 人 住家被害H30.8.13棟  県内被害額 H30.8.13
     死者     266人 全壊   8,658棟 3兆8.189円
    重軽傷者   2,735人     半壊 34,490棟
                  一部損壊  154,142棟
計     3,001人     計    197,290棟
 復旧・復興住まいの再建、仮設・みなし仮設・公営住宅 30年7月末(入居者)28,115人
平成28年熊本地震について  西原村役場:震災復興推進課係長
              ライフラインの水道の早急な本格復旧と、公共土木・農地・農業用施設等々復旧の仕事が山積みしている。復旧・復興に携わる職員の不足も挙げられていた。地震の内容は県の建築課長と同じで、熊本で最も震度と被害の大きかったのが益城町とこの西原村でした。本当に大変な毎日だと思いました。
 最後は参加者全員が自己紹介をかねて一言ずつ思いを語り、お礼の言葉で終了する。


向う正面、西原村役場 左手前2階建が研修セミナー用として新設、1階は図書室


懇親会JID60周年ゆいの法被4枚そろう。
遠いところ理事長ご出席大変ありがとうございました。

2日目はKAP(くまもとアートポリス)の見学を主としました。
くまもとアートポリスとは優れた建築文化を後世に残そうと熊本が始めたものです。
熊本北警察署 形は逆三角形で5階建て、昼間は全面鏡で大空と木立を映し出し、夜は透明ガラスとなり内部が見える。とてもオープンなイメージの斬新な警察署の建築でした。(アートポリス第1号)
県営保田窪第一団地は100世帯を超える集合住宅で、少し複雑なミツバチ箱みたいな形だが派手さもない、いいのは中央の広場では町中の車の騒音も聞えなく、芝生に寝そべって風と陽の光を体に浴び木々の上にぽっかり浮かぶ雲の流れを眺めるのは最適だと思った。


KAP参加第1号プロジェクト   熊本北警察署


KAP 県営保田窪第一団地


江戸時代1854年建設「通潤橋」  今回の地震で一部損傷

    
通潤橋のお店の奥にあった面白い作品
250年以上の歴史「八朔(はっさく)祭(まつり)」豊作祈願の祭り
熊本県山都町役場:作品


KAP「鮎の瀬大橋」設計/建築家 故大野美代子(JID会員)


KAP熊本駅新幹線口(西口)駅前広場

60周年記念イベント「熊本地震に学ぶ」を終了して新幹線口の駅前広場でKAP作品を見る。
駅周辺の完成後にまた来ましょうで、ここまで昨日から大変色々と説明して頂きご案内して頂いた県庁の建築課長補佐の上野さんにお礼を言って皆さん解散する。
   今回の二日間は初日の所要時間オーバーで説明会での時間が半分になりました。
この日は全国高校駅伝熊本県予選の日で同じコースで交通規制にも会いました。しかし、視察や現場での質問は出来て、理事長と懇親会も出来ました。翌日は昨夜の雨も上がり、予定外の「益城町テクノのみんなの家集会所」にも行き、子どもたちの利用状況やお話しも出来ました。
また、JID会員 故大野美代子さん設計のダイナミックな「鮎の瀬大橋」を青空の下みんなで見ることが出来たことは大変良かったと思います。